赤いブログ 弁護士を呼んでくれ

刑事弁護について、研究するブログです。

映画 #ダーティー・ハリー に学ぶ #適正手続き

名作「ダーティー・ハリー」を見てない人はいないだろうから、映画のあらすじは省略するよ。

何?見たことないだって?

有料だけど、ここで見られるから、是非見てみたマイ。

www.youtube.com

 

ハリー(イーストウッド)の必死の活躍で、犯人を逮捕したが、被害者の少女の命を救うことは出来なかった。

というところで、検事室での会話だ。

 

 

検事:

君たち警官にドアを破っていい権利があると思うのか?

容疑者を拷問したり、医者の手当てや弁護士を拒否できるのか?

容疑者の権利はどうした。憲法の修正条項は知っているだろう。

どんな犯罪者にも権利があると言うことだ。

 

ハリー:私があの男の権利を踏みにじったとおっしゃるんですか。

 

検事:そのとおりだ。

 

ハリー:じゃ、釈放ですか。

 

検事:仕方がない。裁判にはならん。

 

ハリー:何故です?

 

検事:

勝ち目のない裁判に、納税者の金を50万ドルも無駄遣いできないんだ。(※)

こっちには、なんの証拠もないんだよ。

 

ハリー:証拠が?いくらでもあるじゃないですか。

 

検事:なにもない。ゼロだ。

このライフルが殺人の凶器だと分かっていても、証拠としては認められないんだ。

 

ハリー:誰が言ったんです?

 

検事:法律だ。

 

ハリー:じゃ、法律がおかしいんです。

 

検事:こちらは、判事だ。バークレー法律学校で教鞭を執っていらっしゃる。

 

判事:

私の意見としては、まず、容疑者の部屋の捜索は違法だった。

したがって、それで得た証拠は、例えばそのライフル銃などは、法廷では認められないのだ。

捜査令状をとるべきだったな。

気の毒だが、それが法律だ。

 

ハリー:捜査令状?少女の命が掛かっているのに?

 

検事:検視報告に寄れば、彼女は既に死んでいたんだ。

 

ハリー:でも、こっちは知らなかった。

 

判事:

裁判所は、刑事が少女の命を真剣に心配したことは当然認めるだろう。

しかし、警察が行った拷問は大目に見ては貰えないぞ。

あの少女に関する全ての証拠は容疑者の自白だが、

任意性がないから、まず、証拠には取り上げられないだろう。

 

ハリー:何とかして有罪にできないんですか?

 

判事:

銃を証拠として使えず、少女も死んだのに?

どこを、どうつついても、有罪の線はでてこないね。

それに、容疑者の権利の侵害は、今度の場合、

憲法の修正条項の第4条、第5条、それに第6条にも違反しているな。

 

ハリー:死んだアンメリーの権利はどうなります?

暴行され、生き埋めにされた彼女を代弁するのは?

 

検事:この地方検事局だよ。

私にも妻と3人の子どもが居る。

君以上にあいつを野放しにしたくない。

 

 

この映画は1971年。

キャンディーズ歴で言うと、BC(before Candies)2年だな。

50年も前の映画だ。

日本の刑事司法は、この映画より半世紀以上遅れている。

まだまだ、このレベルに到達していない。ほど遠いと言っても過言ではない。

 

 

(※)アメリカの刑事裁判って、訴追側に、そんなにお金が掛かるんですか?