赤いブログ 弁護士を呼んでくれ

刑事弁護について、研究するブログです。

#接見国賠 #弁護士勝訴 #国敗訴

任意取り調べで弁護士の接見認めず

国に賠償命じる 東京地裁

 

2020年11月13日 18時32分

www3.nhk.or.jp

 

引用

東京地検特捜部が捜査した横領事件で弁護士が任意で取り調べを受けていたアパレル会社の元社長と接見できなかったと訴えた裁判で、東京地方裁判所は検察官が接見の機会を奪ったのは違法だと判断し、国に10万円の賠償を命じました。

 

勝訴したのは、第二東京弁護士会の櫻井弁護士です。

尊敬する先輩です。

 

 

※接見国賠とは:

 

刑事事件の被疑者として、逮捕されたり、勾留されたり、身体拘束を受けている人に、弁護士が面会することを「接見」と言います。

起訴されて被告人と呼ばれるようになってからの弁護士面会も、接見と呼びます。

弁護士の接見には、警察官が立ち会えません。立ち聞きもNGです。

警察に聞かれたくないことでも、自由に、弁護士に話すことが出来ます。

弁護士は、被疑者の自由な話を聞いて、取調べに、どのように立ち向かうか。などのアドバイスを行います。

そして、被疑者にとって弁護士のアドバイスを受ける権利はとても重要なので、原則として、弁護士はいつでも接見できることになっています。

 

ところが、警察や検察にしてみれば、弁護士が被疑者に知恵を付けると、取調べがやりにくくなる。できれば、弁護士に会わせたくない。

ですから、なんやかやと屁理屈を付けて、会わせないようにする。

弁護士が、交通事故の被疑者と接見するために警察署に行った。ところが、被疑者は、事故現場に行って実況見分しているから、接見できない。こういう場合はやむを得ません(警察署にいるか、事前に電話確認しなかった弁護士にミスがある)。

そういう事情もないのに、弁護士の接見を拒否すること(接見拒否)の殆どは違法です。

違法な拒否なのに、断られたからと、スゴスゴと帰って来る弁護士は、ダメ弁です。なんやかやの屁理屈を、法理論で論破して、接見しなければ一人前とは言えません。

ただ、そこで、会わせろ・会わせない・会わせろ・会わせない。と丁々発止と論争しているだけで、20分30分をムダに過ごすこともあります。それだけ接見が遅れるわけです。この遅延行為も違法です。

これを「接見妨害」と言います。

 

場所を、取調室に移しましょう。

取調室は、自白させたい警察官と、自白したくない被疑者との戦場です。そこに弁護士という味方は居ません。

片や百戦錬磨の取調べのプロ。

被疑者は、初めて逮捕され、オロオロしているか弱い存在。

勝負は明かです。

被疑者は、やってもいない犯罪をやったこととされたり、あいまいな動機だったのに立派な動機があったことになったり、意に添わない方向へ誘導されていきます。

そして、警察官が納得する自白が取れたら、それを書面にします。書面を読み上げて被疑者に聞かせ、間違いないな。と念を押して(その時点では、違います。という気力も失われています)、書面に署名、押印させます。ハンコを持って逮捕される人は稀ですから、左手の人差し指で指紋を押します。

こうして出来上がった書面を、供述調書と言います。

本当は、警察官が誘導に誘導を重ねて作り上げた物語が書かれているのですが、形の上では、警察官が尋ねたところ、被疑者が任意に供述したので、それを書き取った書面だ。被疑者の供述を書き取った書面だから、供述調書なのですね。

被疑者が任意に供述した体裁になっていますから、裁判になったときには強力な証拠になります。

 

話を、受付に戻しましょう。

会わせろ・会わせないで、30分ムダにしている間に、供述調書の読み聞かせが終わり、被疑者が署名と指紋を押してしまったら(俗に「指印」「ゆびいん」と読む)、それから後に弁護士が被疑者に接見できたとしても、後の祭りです。警察に有利な強力な証拠が出来上がってしまったのです。もう、廃棄はできません。

警察は、今取調べ中なので、接見できません。と臆面も無く言います。

酷いのになると、これから署名指印だけですから、すぐ終わります。10分ほどお待ち下さい。等というのもある。

それは、今、取調室という戦場で、警察が有利な戦況にあるから、弁護士に援軍に入ってくるな。と言っているのです。

弁護士は、断固として、援軍にならなければなりません。

そうは言っても、取調室に乱入することは、基本、できませんから、取調べを中断させ、接見して、被疑者に知恵を付けるのです。

それでも、会わせろ・会わせないで30分をムダにして、その間に、被疑者が署名指印してしまうかもしれません。

間に合わなかった。と諦めるのではなく、なぜ30分をムダにしたのか。それを証拠化して、裁判に備えなければなりません。

ボイスレコーダーで録音するのが良いのですが、常に持っている物でもありませんね。スマホの録音機能、録画機能を使うのも良い方法です。警察官は嫌がって、止めさせようとします。その光景を録画するだけでも意味があります。

あと対応している警察官の所属、階級、氏名を尋ねましょう。これだけで、後で裁判に呼び出されるかも、とビビって、会わせてくれる場合もあります。

のちのち裁判でも役に立ちます。

接見を申し入れた時刻、接見できた時刻も、記録しておきましょう。

録画のような「動かない証拠」(録画は動くんだけど、証拠の価値は動かない)がない場合には、あるいは、ない部分については、すぐに紙に書いて証拠に残しましょう。あるいはPCやスマホに入力しましょう。

念には念を入れるなら、紙の場合には近所のコンビニから事務所にFAXしましょう。FAXに受信時間が残りますから、直後に作成した信用性の高いメモであることが分かります。PCやスマホの場合、自分宛にメールを送りましょう。メールにも時刻が残ります。

なんでも活用して、沢山の証拠を残しましょう。

 

受付での論戦を行わずに、取調べを中止して、弁護士が接見できたら、被疑者から取調べの状況を聞き、不本意な自白をしたことにされてしまった。ということを知れば、弁護士は「まだ間に合う。署名指印はするな。そうすれば証拠として使えない」とアドバイスできたはずです。

たった30分でも、致命的な遅れになることもあるのです。

 

そういう場合には、その後の刑事裁判で、あの時の供述調書を証拠と採用してはならない。なぜならば・・・と証拠を揃えて争うことになります。

 

そして、もう一つ。

この接見妨害を行ったのは警察官です。警察官は、通常は地方公務員です。

検察庁で妨害が行われたら、妨害した人は国家公務員です。

いずれにしろ公務員ですね。

公務員の違法行為により損害を受けた場合には、国家賠償法に基づいて損害賠償を請求することが出来ます。その訴訟を、略して「国賠訴訟」と言います。

法律の名前は「国家賠償法」なので、国家公務員だけが対象と思いがちですが、地方公務員である警察官も含まれます。公権力を行使する公務員ですからね。

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

この国賠訴訟にも、もちろん証拠が大切です。

刑事裁判以外にも、国賠訴訟にも、Wで証拠が使えます。ですから証拠を残しておくことは、とっても大切です。

 

長くなりましたが、結論です。

違法な「接見妨害」に対する「国賠訴訟」を、さらに略して「接見国賠」と呼ぶのですね。

 

今回、裁判になった事件では、任意の取調べとのことなので、厳密には、法律上は身体拘束を受けていません。ですから、理屈の上では、取調べを断って帰宅することも自由です。

ドラマなどで「これは任意ですよね。帰っても良いんですよね。じゃ、帰りますから」と堂々と帰っていく人を見たことありませんか?

実際の事件で、あそこまで堂々と帰れる人は、まず、居ません。

先ほども書きましたが、取調室は戦場です。そうそう簡単に帰れる隙はみせません。勇気も必要です。

さらに、任意の取調べに応じている間は逮捕しないけど、協力しないなら逮捕する。という場合もあるので、軽々に帰るわけにも行きません。

法律上は帰れるけど、事実上は帰れない。これが任意の取調べなのです。

だから「接見妨害」で訴訟が可能だったんだね。

 

判例があると、教わりました。

 

平成5年11月16日/福岡高等裁判所/第5民事部/判決/平成3年(ネ)921号
判例ID 27817376
著名事件名 福岡任意取調中接見拒否損害賠償訴訟控訴審判決
事件名 損害賠償請求控訴事件
裁判結果 控訴棄却
上訴等 確定
出典
判例時報1480号82頁
判例タイムズ875号117頁
2 争点2(弁護権侵害行為の有無)について
 被疑者の弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(以下「弁護人等」という。)は、当然のことながら、その弁護活動の一環として、何時でも自由に被疑者に面会することができる。その理は、被疑者が任意同行に引き続いて捜査機関から取調べを受けている場合においても、基本的に変わるところはないと解するのが相当であるが、弁護人等は、任意取調べ中の被疑者と直接連絡を取ることができないから、取調べに当たる捜査機関としては、弁護人等から右被疑者に対する面会の申出があった場合には、弁護人等と面会時間の調整が整うなど特段の事情がない限り、取調べを中断して、その旨を被疑者に伝え、被疑者が面会を希望するときは、その実現のための措置を執るべきである。任意捜査の性格上、捜査機関が、社会通念上相当と認められる限度を超えて、被疑者に対する右伝達を遅らせ又は伝達後被疑者の行動の自由に制約を加えたときは、当該捜査機関の行為は、弁護人等の弁護活動を阻害するものとして違法と評され、国家賠償法一条一項の規定による損害賠償の対象となるものと解される。
 これを本件についてみるに、被控訴人は、昼休みの時間帯に田川署に赴き、A町長との面会を申し出たものであるが、B刑事課長からその旨の連絡を受けたC警部及び現にA町長の取調べに当たっていたD警部補は、捜査の都合を理由に、右申出があったことを速やかにA町長に伝達しないまま取調べを継続し、他方、被控訴人と直接折衝に当たったB刑事課長は、具体的な面接時間の調整を図るなど被控訴人の弁護活動に配慮した対応をせず、取調べ中の捜査官からの連絡を待つようにと一方的に通告する態度に終始した。加えて、本件でA町長が同行された場所は、被疑者側の誰にも知らされておらず、したがって、被控訴人は、田川署から車で一〇分以上掛かる別の場所でA町長の取調べが行われていることを知らないまま、その場で直ちに面会できることを期待してB刑事課長と交渉に当たっていたという経緯があり、以上のような具体的な状況の下では、B刑事課長及びC警部の行為は、社会通念上相当と認められる限度を超えて弁護人等の弁護活動を阻害した違法があるものと認められる。
  3 また、以上のような事実関係を総合すると、B刑事課長及びC警部は、被控訴人の弁護活動を阻害したことについて過失があったものと認められ、被控訴人は、これによって精神的苦痛を受けたことが認められるところ、右精神的苦痛を慰謝すべき額は、諸般の事情に鑑み、五万円をもって相当と認める。
 四 よって、本件控訴は、理由がないから、これを棄却することとし、控訴費用の負担について民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官鍋山健 裁判官小長光馨一 裁判官西理)

 

5万円って安いね。

映画 #ダーティー・ハリー に学ぶ #適正手続き

名作「ダーティー・ハリー」を見てない人はいないだろうから、映画のあらすじは省略するよ。

何?見たことないだって?

有料だけど、ここで見られるから、是非見てみたマイ。

www.youtube.com

 

ハリー(イーストウッド)の必死の活躍で、犯人を逮捕したが、被害者の少女の命を救うことは出来なかった。

というところで、検事室での会話だ。

 

 

検事:

君たち警官にドアを破っていい権利があると思うのか?

容疑者を拷問したり、医者の手当てや弁護士を拒否できるのか?

容疑者の権利はどうした。憲法の修正条項は知っているだろう。

どんな犯罪者にも権利があると言うことだ。

 

ハリー:私があの男の権利を踏みにじったとおっしゃるんですか。

 

検事:そのとおりだ。

 

ハリー:じゃ、釈放ですか。

 

検事:仕方がない。裁判にはならん。

 

ハリー:何故です?

 

検事:

勝ち目のない裁判に、納税者の金を50万ドルも無駄遣いできないんだ。(※)

こっちには、なんの証拠もないんだよ。

 

ハリー:証拠が?いくらでもあるじゃないですか。

 

検事:なにもない。ゼロだ。

このライフルが殺人の凶器だと分かっていても、証拠としては認められないんだ。

 

ハリー:誰が言ったんです?

 

検事:法律だ。

 

ハリー:じゃ、法律がおかしいんです。

 

検事:こちらは、判事だ。バークレー法律学校で教鞭を執っていらっしゃる。

 

判事:

私の意見としては、まず、容疑者の部屋の捜索は違法だった。

したがって、それで得た証拠は、例えばそのライフル銃などは、法廷では認められないのだ。

捜査令状をとるべきだったな。

気の毒だが、それが法律だ。

 

ハリー:捜査令状?少女の命が掛かっているのに?

 

検事:検視報告に寄れば、彼女は既に死んでいたんだ。

 

ハリー:でも、こっちは知らなかった。

 

判事:

裁判所は、刑事が少女の命を真剣に心配したことは当然認めるだろう。

しかし、警察が行った拷問は大目に見ては貰えないぞ。

あの少女に関する全ての証拠は容疑者の自白だが、

任意性がないから、まず、証拠には取り上げられないだろう。

 

ハリー:何とかして有罪にできないんですか?

 

判事:

銃を証拠として使えず、少女も死んだのに?

どこを、どうつついても、有罪の線はでてこないね。

それに、容疑者の権利の侵害は、今度の場合、

憲法の修正条項の第4条、第5条、それに第6条にも違反しているな。

 

ハリー:死んだアンメリーの権利はどうなります?

暴行され、生き埋めにされた彼女を代弁するのは?

 

検事:この地方検事局だよ。

私にも妻と3人の子どもが居る。

君以上にあいつを野放しにしたくない。

 

 

この映画は1971年。

キャンディーズ歴で言うと、BC(before Candies)2年だな。

50年も前の映画だ。

日本の刑事司法は、この映画より半世紀以上遅れている。

まだまだ、このレベルに到達していない。ほど遠いと言っても過言ではない。

 

 

(※)アメリカの刑事裁判って、訴追側に、そんなにお金が掛かるんですか?

 

 

 

俳優伊藤さん轢き逃げ事件/身体拘束について

TVのワイドショーを信じちゃイケないよ。な件

 

10月28日午後5時45分ころ、有名俳優が、自動車をUターンさせようとしたところ、対向車であるバイクと衝突。バイクに乗っていた男女2名に怪我をさせ、救護もせず、通報もせず、走り去った、とされる事件。

その日の夜、有名俳優は逮捕されました。ざっくり調べたところ、現行犯逮捕などではなく、逮捕状による通常逮捕だと思われる。

 

今、記事を書き始めたのは10月30日午後2時ころ。

検察庁は、今日、午前中に勾留請求をして、勾留裁判の結果待ちの状況にある。

有名俳優の事件なので、テレビのワイドショーが嬉しくなって取り上げている。

 

まず、ひるおび

「勾留は最大で23日間です」と説明。

 

そうだよな。

48時間+24時間+10日+10日=23日間

計算は正しいな。と聞き流した専門家もいるかも知れない。

でも、勾留最大23日間は、明白は誤りなのだよ。

条文を見ながら確認していこう。

 

刑事訴訟法

二百三条 司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、(略)留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。

第二百五条 検察官は、第二百三条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、(略)留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取つた時から二十四時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。

この2つの条文が48+24の根拠だ。一般的には、簡略化して3日間と言う。

203条は「四十八時間以内に(略)検察官に送致する手続をしなければならない。」

204条は「被疑者を受け取つた時から二十四時間以内に」

警察が送致手続きをしてから、検察官が被疑者を受け取るまでに、時差があるだろう。だから48+24の間に数時間が挟まることになる。しかし、72時間の合計時間を超えることは許されない。どちらかの持ち時間を削って調整しなければならないのだ。

第二百五条
2 前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から七十二時間を超えることができない。

重要なことは、この3日間は勾留ではない。ということだ。

第二百五条 検察官は(略)二十四時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。

となっていることから分かるように、3日間以内に検察官が勾留の請求をし、裁判官が勾留決定をしてから勾留がはじまる。それ以前は勾留ではない。この3日間は、逮捕の効果による身体拘束である。

勾留期間の最大は、10日+10日の20日であって、23日ではないのである。

 

つぎ、ゴゴスマ

清原博国際弁護士のおことば

「勾留の結論は今日の夕方頃出ると思う。」

これは東京の勾留実務を知らないことを自白したのと同じだ。

東京地裁では、被疑者の身体拘束に関する裁判は、刑事14部が一手に引き受けて判断している。東京は事件数が多いので、専門部を設けているのだ。

203条205条が捜査機関に厳しい時間制限を設けているのだから、裁判所も速やかに審理し「勾留する・しない」の判断を下し、勾留請求を却下する場合には、直ちに検察官に被疑者の釈放を命じなければならない。

第二百七条
5 裁判官は、第一項の勾留の請求を受けたときは、速やかに勾留状を発しなければならない。ただし、勾留の理由がないと認めるとき(略)は、勾留状を発しないで、直ちに被疑者の釈放を命じなければならない。

「速やかに」だから常識的には「その日のうちに」結論がでる・・・はずだ。東京を除く、日本全国の裁判所は、それを実行しているはずである。

ところが、東京地裁は、事件数が多いことを理由に、勾留請求の審理を翌日午前中に行う。東京の刑事弁護人の常識だ。

裁判官が、勾留の裁判をするには、被疑者を呼んでその言い分を聞かなければならない。これを「勾留質問」という。

刑事訴訟法に「勾留質問」をしなければならない。という直接的な条文はないが、207条2項が、裁判官が被疑者に被疑事実を告げることを予定している。つまり、裁判官の面前に被疑者を連れてくることが前提とされている。

裁判官の面前に被疑者を連れてきたら何をするのか?
勾留質問がなされる。と考えられるのだ。

第二百七条
2 前項の裁判官は、勾留を請求された被疑者に被疑事件を告げる際に(後略)

東京地裁では、この勾留質問を、勾留請求の翌日午前中にまとめて実施する(大病院の外来診察のように、次から次へと、実施される)。

具体的には、勾留担当の裁判官は、朝、昨日届いた勾留請求書類を読み、被疑者(警察、検察が、用意周到に裁判所に連れてきている)に勾留質問を実施し、請求書類と被疑者の言葉から、勾留を認めるか、認めないかを決めていく。

弁護人がいるときには、勾留質問の前に(前の晩か、朝一番)、裁判官に意見書を提出するか、裁判官面接を求めるか、その両方を行い、被疑者が勾留されないよう活動する(しない人は、手抜きと言っても良い)。

ということで、今日の午前中の勾留請求に対して、今日の夕方に結論が出ることなど、よほどの例外的な事件でない限り、東京ではあり得ないことなのだ。

清原博国際弁護士。残念!

この国際弁護士、さいたまの弁護士だから、知らんことには口を挟まない方が良かったね。

 

次の清原博国際弁護士のおことば

現地のレポーター「勾留の結論が出るのは明日になると予想されています。」に対して

「他の事件などが立て込んでいる場合には、明日に持ち越すこともと思う。」

明日に持ち込まれるのは、上記の通り、東京地裁独自の方法で、事件が立て込んでいるかは関係ない。またしても、墓穴を掘った。

 

清原博国際弁護士のおことば

MCの「勾留は10日間なんですか」との質問に対し

「原則10日ですが、裁判官の判断で5日とかになることもある」

え?耳を疑ったよ。

すでに出てきているが、勾留日数は最大10日+10日の20日だ。最初の勾留+延長だ。

第二百八条 前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
2 裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。
条文を読めば分かるが、最初の勾留は10日間、延長は10日以内で裁判官が日数を決める。延長の場合は5日とか7日がありうる。

国際弁護士は、勾留延長と混乱したんだろうな。恥ずかしい。

 

次の清原博国際弁護士のおことば

「勾留却下の場合にも、所持品返却等のため一旦湾岸署に戻り、そこで釈放になる。」

これも、間違いね。

勾留質問のために東京地裁に来ている被疑者は、東京地裁で直ちに釈放される。裁判官は、刑訴法207条で直ちに釈放を命じるのだから。直ちにだ。

(再掲)第二百七条
5 裁判官は、第一項の勾留の請求を受けたときは、速やかに勾留状を発しなければならない。ただし、勾留の理由がないと認めるとき(略)は、勾留状を発しないで、直ちに被疑者の釈放を命じなければならない。

その証拠に、湾岸署に帰る車では、手錠をしてないはずだから、画像が流れたら確認してみてご覧。

湾岸署に連れて行くのは、所持品を取りに行くための警察のサービス。所持品は、捨てちゃって下さい。とか、あとで取りに行きます。今日はとにかく早く帰りたい。と言えば、裁判所から帰れる。

 

 

と、テレビのワイドショーをdisるのは、ここまでにして、本質的な問題を語ろう。

 

勾留請求の時間問題。

東京の全件翌日回し問題。と言っても良い。

 

検察官の勾留請求が認められて、勾留状が発付された場合、10日間の勾留が認められる。この10日間は、勾留請求の日から換算されるから、東京方式で勾留状発付が1日遅れたところで、最終日が変動することはない。被疑者が損することはない、と言い換えても良いい。

第二百八条 前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

他方、即日審理の場合、勾留請求が却下されれば、被疑者はその日のうちに帰れる。翌日審理(東京方式)の場合には、審理を待つため、一晩、ムダに警察にお泊まりしなければならない。東京方式は、被疑者にとって、とっても不利なシステムだ。

東京の弁護士は、それが当然と飼い慣らされてしまい、あまり問題視していない。問題視してない、というより、気が付いてすらいないのである。これは大問題だ。

勾留却下の事案が少ないのも、影響しているであろう。

 

この問題は、東京三会が力を合わせて、東京地裁と闘って、改善せねばならない大問題である。

 

 

 

 

 

午後2:38ニュース

ゴゴスマ検察庁が勾留請求を取り消した。

 

河合アンリは、保釈が認められたけど、釈放されない不思議

news.yahoo.co.jp

記事から引用

東京地検は、この決定を不服として抗告した。これらが退けられれば、6月の逮捕以来、約4カ月ぶりに保釈される。」

 

ってことは、検察官が保釈の執行停止を申し立てて、裁判所が認めた。ってことだな。

 

これって、本当に頭にくるよね。

保釈の執行停止って、ほぼ100%認められるんだよね。

裁判所にはチェック機能が無いの。

人権感覚も無い。ってことだよな。

そもそも、保釈に執行停止の申立ができる。ってのが間違えているんだ。

夢の中で死刑になった件~まだ書きかけです~

数日前に見た夢の話です。

ボクは、刑事事件の被告人になった。

第475条 死刑の執行は、法務大臣の命令による。
2 前項の命令は、判決確定の日から6箇月以内にこれをしなければならない。但し、上訴権回復若しくは再審の請求、非常上告又は恩赦の出願若しくは申出がされその手続が終了するまでの期間及び共同被告人た者に対する判決が確定するまでの期間は、これをその期間に算入しない。

第476条 法務大臣が死刑の執行を命じたときは、5日以内にその執行をしなければならない。

 

 

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ヤフーブログで「赤いブログ」として、刑事弁護を研究してきました。

ヤフーでは、お陰様で、延べ訪問者数14万人を超えました。

お友達が3人しか居ない(内、ひとりはブログ主の分身)の割には、健闘した数字だと思います。

ヤフーがブログサービスを止めるというので、引っ越しを検討し、とりあえずアメブロに引っ越しました(記事を全部、一括で移動)。

でも、はてなブログの方が使い勝手が良いかな。と思って、再引っ越しを検討中です。ただ、仲が悪いのか、アメブロからはてなブログへの引っ越し(一括移動)するツールが用意されていません。

時間の経過で陳腐化した記事を捨てる、ブラッシュアップする、など考えながら、手作業で少しずつ引っ越しする予定です。
今は、アメブロで全部読めますので、そちらを参照して下さい。
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